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日本の株価が米中貿易戦争で下がると読む理由 楽観的な「早期妥結期待」はかなり危うい

早期妥結期待は禁物だろう。今のところ米中間の隔たりは、いわゆる構造問題(知的所有権侵害、巨額の補助金、先端技術の移転強要)を中心にかなり大きい。

 

米商務省は23日(木)に米ドルに対して自国通貨を割安にしている国に対して、相殺関税を課すルールを提案していると公表している。つまり、アメリカの輸入関税引き上げに対抗して、中国が元相場を押し下げれば、その分だけさらに関税を積み増しする、ということだ。

また同日には、米上院の超党派グループが新しい法案を提出している。この法案によれば、ASEAN東南アジア諸国連合)の加盟国が領有権を主張する海域(具体的には、南沙諸島などを想定)で、平和、安全保障、安定を脅かす行為をした個人(中国人を想定)に対し、アメリカ国内にある金融資産の凍結などを政府に義務付ける、というものだ。

こうしてアメリカ側が圧力を強め続け、それに対して国内政治情勢を踏まえた中国側が譲歩できない、という展開に陥っており、米中間の早期妥結は期待しない方がよいだろう。

 

米中通商交渉も、好悪両方の様々な材料が日々流れながら、実際には良くも悪くも何も進まない状態が続けば、ブレクジットと同様に、市場は無反応になっていく展開がありえよう。

 

市場はそれでよいとしても、実際にビジネスを営んでいる企業としては、やりきれないだろう。これほど世界の政治情勢に不透明感が強まれば、設備投資や人員採用を含め、事業計画の立案が困難となる。

世界中の企業は不透明感が去るまでじっと委縮してしまうのではないだろうか。

実際、アメリカのISM指数やドイツのIFO指数など、企業の景況感を測るデータは、着実に悪化傾向を強めている。

 

日本株を物色するうえで、投資関連中心に外需株が買えず、さりとて消費関連中心に内需株も買えない、という事態に陥れば、当然株式市況全体の方向性は明らかだろう。

そうしたなか、今週の日経平均株価としては、まだしばらくは安定ないし膠着状況が続くかもしれない。ただそれは、これからやってくる下落局面の前の、小休止に過ぎまい。今週の予想は、2万0700~2万1300円とする。

 

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