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令和の幕開けを見舞った「米国株の暴落」の正しい読み方

トランプ米大統領が自身のツイッターで中国からの輸出品に対する25%の関税付与を実施する可能性に言及した。

 

一見、トランプ大統領がもたらしたかにみえるこの米国株の調整について、筆者は、過度な楽観論によって割高になった株価の調整が前倒しで来たのではないかと考えている。トランプ発言が先行き不透明感を一気に増大させたのは確かだが、それがなくても、別のきっかけによって米国株は調整したのではなかろうか。

 

筆者は、マクロ経済環境と整合的な株価の「均衡値」を、株価と失業率(ただし、労働参加率で再調整したベース)の間の「共和分」という統計的な関係をもとに考えるようにしている。

 

この関係に基づいて、4月末時点での米国株価指数(ここではニューヨークダウ工業株30種平均を用いている)の「均衡値」のレンジを試算すると、23000ドルから26500ドル(中心値が24600ドル)近傍になる。

この一般ケースで考えると、4月末時点で株価は割高感の修正が近づいていた。

 

4月の株価上昇をみて、強気に転じる投資家が多い中、実際に4月末時点で、5月の株価調整を予想する投資家も存在した。その投資家がみていたのは「VIX指数」であった。

「VIX指数」は、株価のボラティリティ(価格変動率)を指数化したものであるが、一般的には「ハイリスク・ハイリターン」型の金融商品に分類される株式のボラティリティが低いという状況はレアケースなので、VIX指数がほぼ一方的に低下する(その一方で株価は上昇基調にあったので「ローリスク・ハイリターン」になっていた)という最近の株式市場の動きは明らかに変であり、早晩、その反動が来るだろうという話であった。

名目3.5%成長を前提としたマネタリーベースの供給ペースとここで言及した10月までの資産圧縮ペースを前提としたマネタリーベースの供給ペースの乖離は、株価と密接な関係になる

この関係から想定される年末のニューヨークダウの水準はせいぜい昨年末並み(24000ドル近傍)と試算される。

今回の株価調整が長引くようであれば、トランプ大統領の攻撃の矛先がまたまたFRBに移る可能性がある。現状のFRBの「面従腹背」がいつ終わるかが、米国株価が中長期的に上昇トレンドの維持、ひいては米国経済の長期停滞からの脱出の鍵を握るファクターかもしれない。

 

gendai.ismedia.jp