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「米中貿易摩擦」で“思考を止めるな! 中国景況悪化の主原因は過剰生産の反動

「政治イベントで株価が動いても、それは一過性。長期間引きずる金融イベントと冷静に区別し、もし政治イベントで市場がパニックになったら、胃薬を飲んで買いに出る」のが、投資家の取るべき態度だ

 

国際政治のニュースで一喜一憂したり、パニックに陥らないのはいいことですが、「政治家の発言だから政治イベント」と決めつけて安心してしまうのも、この連載で申し上げたい本意とは異なります。もしかしたら、米中貿易問題に隠れて他の悪材料が、たとえば新興国から資金が逃避していて思わぬ混乱を招く、なんていうことも十分あり得ますよね

 

景気指標になるマクロの数字は、実は米国を筆頭に減速の兆候が見られます。米国の景気のサイクルがピークアウトしつつある兆候が、下のグラフにあるISMやPMI指数などで幾つか出てきた。こうなると、「昨年10~12月の業績が底だった」という判断を、1~3月期の決算で確認できなかったら、市場は持たないかもしれないと思ったわけです。

 

世界のISM/PMI指数動向

世界のISM/PMI指数動向

※ISM=Institute for Supply Management、「(米国の)製造業景気指数」。PMI=Purchasing Manager's Index、「購買担当者景気指数」。メーカー、サービス業の購買担当者に対して、新規受注、生産高や受注残、価格、雇用、購買数量などを調査し、そこから導き出される景況感を示す指数。どちらもGDPなどより速報性が高い。

 

米国の景気はまだ伸びているものの、成長率が急速に落ち始めていることも示唆しています。

 

企業業績予測と株価

企業業績予測と株価

 

企業の受注や在庫の変化の方が、当然ながら経済指標よりも変化を素早く教えてくれる

全体の景況感は悪いけれど、製造装置や工場など、設備投資が戻ってきている印象がある

中国の昨年末の景気後退は、米中貿易摩擦によるものだと思われているけれど……もちろんその影響もあるにせよ、それはきっかけで、最大の原因は、半導体など新産業への過剰投資による供給過剰、オーバーサプライの反動だった。

 

半導体消費財です。生産設備は資本財ですよね。何かを作るために作る。生産が伸びなければいらない。ゆえに今は受注調整中。そして半導体の需要は時間がたてば伸びは戻る。今は需要が追いつくのを待っている。そしてどうやら、1~3月を底に追いついてきた兆しがある。これで景気悪化も現状も、企業業績予測が変わっていない理由も説明できます。

 

ということで、まとめてみますと「もしかしてこのまま上がり続けたらいったん相場から降りたほうがいいのか」と一瞬思いましたが、予期せぬ形で米中貿易摩擦再燃となりましたので、私はこのまま強気のポジションを取り続けます。

景気は戻り、企業収益も戻り、中国景気も折れない、と見ます。20年3月期の通期の業績予想は+3%と大したことはありませんが、10~12月期の四半期だけを見れば企業収益は20%増益まで瞬間風速は回復すると予想しています(純利益ベース、TOPIX500、金融・ソフトバンクを除く)。

 

米国にとって中国は、最大の輸入国とはいえ、その比率は輸入額の3兆1228億ドル(JETRO調べ、2018年通関ベース)のうち、中国からの分は3233億ドルです(中国税関総署調べ)。ということは1割ちょっとの分が、25%値上げになる可能性がある、ということですね。

となると、全体で考えれば2.5%の値上げ?

関税の上昇は、消費税の引き上げみたいな効果になるんだと思います。景気が弱かった日本では、3%上げるだけでも大変でしたけれど、駆け込み需要が出て、そこから下がって、1年経つと平準化する。関税引き上げへのリアクションもそんなところだろうと見ています。

 

business.nikkei.com